家庭教師の時に感じた生徒とのコミュニケーションの必要性
家庭教師で指導している時に一番もどかしかったのは、ほんのちょっとした疑問で学習が止まってしまっていたり、急な用事等が入って計画通りに学習が進められていなかったことが判明した時でした。
このような時には、すぐに疑問を解消して学習サイクルの停滞を必要最低限に抑え、1週間の学習計画を微調整する必要がでてきます。しかし、1週間に1度の頻度だと、対応が後手後手に回ってしまう印象が強く、生徒ともっと頻繁にコミュニケーションできる塾専用のツールがあればいいなと感じていました(LINEやFacebookのようなSNSを用いればいいという意見もあるかと思います。しかし、プライベートと勉強の情報が混在してしまうと、勉強から脱線し、集中できないというデメリットの方が勝ると判断して採用を見送りました)。
SNSのように簡単にメッセージのやりとりができることができること、さらにそこに学習項目も一緒に表示できれば、何を勉強すればいいのか生徒が迷うこともなくなる上に、学習項目に紐付いた活発な議論につなげられるメリットも生まれてきます。PCだけでなく、タブレット、スマホ、ipod touchで使用できれば、いつでも講師と連絡を取り合い、アドバイスを受けることが可能になるわけです。
理想のツールを求めて
理想とする形がおぼろげながら見えてきた段階で、目的に適うツールががないかを探しはじめました。
最初目をつけたのが、EdmodoやMoodleといったLMS(学習管理システム:Learning Management System)。しかし、いくつか試用してみたものの、インターネット上に存在する教材で授業を進めるeラーニングが主体で、より人数の多いクラスを管理するシステムという色合いが濃く、自分が求めているもの(教材は生徒自身が所持している参考書・問題集で、各個別の生徒と講師とのコミュニケーションを通じた学習進捗管理が目的)とはちょっと違いました。
LMSの次に目をつけたのが、いわゆるプロジェクトやタスク管理ツール。星の数ほどあるツール群なので、自分の目的に合致したものが何かあるんじゃないかと。
これまた、色々試してみて、最終的に採用に至ったのが、trelloというプロジェクト管理ツールです。
trelloが可能にした、生徒とのコミュニケーションと受験プロジェクト管理
タスクを1枚のカードとして作成し、そのカードをリスト間(例:To Do, Doing, Done)で移動させることで、進捗度合を視覚的に確認できるツールです。カードはドラッグ・アンド・ドロップで直感的に操作できるのが、中高生の使用にも向いています。
塾用にカスタマイズしたものをお見せします。
上に表示されたガントチャートで、自分が今取り組んでいる学習項目の期限や、年間の学習計画のどこに位置づけられるのかを明瞭に把握できるようにしました。下の空色の部分が”ボード“と呼ばれ、複数のリストが横に並んでいます。
一番左の”1週間の課題リスト“が、1週間のうちに終わらせる課題が並んだリストになります。色の異なるラベルで学習教科の違いを表現しています。課題が完了すると、2番めの”完了リスト“へ課題カードを移動させます。
では、次に課題カードの中身です。
一番上が、課題カードのタイトル。その下が課題に取組む期間です。
カードの説明欄では、きめ細かく具体的な学習の進め方を指示しています。
3番目のチェックリストは、1日毎にこなす課題を記載しています。
チェックを入れると自動的に講師に通知されるので、予定通りに学習を進められているかどうかといった、生徒の学習状況をリアルタイムで把握できるようにしました。
一番下にあるのがコメント欄です。ここで、生徒とメッセージをやり取りします。
学習に疑問点が出てきた際には、生徒はここからすぐに質問できるほか、講師から配布されるプリントの答案をカメラで撮影して、講師へ提出することも可能です。
一方、講師側からは、質問の解答、プリントの配布のほか、入塾したての初心者の生徒や、学習の進行が滞っている生徒へのサポートにも利用していきます。
文章で書くと煩雑なように思えますが、生徒が実際にする作業は、
①trelloアプリを開く
②一番左の週間課題リストのカードを開く
③課題に取組む
④課題が終わったら、チェックボックスにチェックする
という単純なステップのみ。
このシンプルな使い勝手が採用に至った最大の理由です。
そして、1週間ごとに生徒と講師が一緒に学習内容を振り返り、次の週に取組む課題リストを更新して、さらに学習を進めていきます。学習法についても、生徒とともに考えながら改善点を加えていくことで、各生徒が独自の効率的な学習法を確立させていく過程をサポートしていきます。
まとめ
まとめると、下の図のようになります。
生徒と専任講師が、受験に向けたプロジェクトチームを作り、trelloアプリを通じたコミュニケーションを通じて、その受験プロジェクトを円滑に前に進めていく。その過程で、生徒は毎日、主体的に学習に取組む習慣が自然に形成され、合格に必要な学力を習得していくという流れになります。
trelloでは、ボードを複数作成でき、ボードごとに共有する相手を変えることができます。つまり、生徒1人1人の学習内容を反映させたtrelloボードを作成することによって、1人の講師が複数の生徒に対応することができるようになるわけです。
しかも、各ボードからの情報は一元的に通知されるので、ワンステップで、複数の生徒の状況を把握できます。管理上の負担を最小限に抑えることで、生徒1人1人とのコミュニケーションに講師が注力できる仕組みになりました。
また、集約した指導管理の情報を解析することで、講師の指導ノウハウの蓄積や今後のさらなる指導力の向上につなげていきたいと考えています。
オンライン学習塾サプリングの学習指導の核の部分になりますので、ちょっと長くなりましたが、詳しく説明させていただきました。